クラウド活用やリモートワークの普及により、企業のIT環境は年々複雑化しています。それに伴い、ログやアラートを横断的に可視化・分析するSIEM(Security Information and Event Management)の重要性は急速に高まっています。
一方で、「どのSIEMを選べばよいのか分からない」「導入したが使いこなせていない」といった声も少なくありません。

本記事では、SIEMを選定する際の考え方と、実務で押さえるべきポイントを整理して解説します。

 

1. まずは「SIEMで何を実現したいか」を明確にする

SIEM選定で最も重要なのは、自社がSIEMに何を期待しているのかを言語化することです。
よくある導入目的は以下の通りです。

  • セキュリティインシデントの早期検知・被害拡大防止
  • 複数システム・製品のログを一元管理したい
  • 監査・内部統制対応のための証跡管理
  • SOC(Security Operation Center)運用の効率化・高度化

「SIEMを入れること」自体が目的になってしまうと、
アラートは出ているが誰も見ていない分析できる人がいない
といった状態に陥りがちです。

検知したい脅威・守りたい資産・実際に運用する担当者を整理してから、製品比較に進みましょう。

 

2. ログ収集範囲と将来の拡張性を確認する

SIEMの価値は、どのログを集められるかで大きく左右されます。

確認すべき主なポイントは以下です。

  • クラウド(Azure / AWS / GCP)のログを標準で取り込めるか
  • EDR、FW、Proxy、IdPなど主要セキュリティ製品との連携実績
  • APIやコネクタによる拡張が可能か
  • 将来的に導入予定の製品も連携できそうか

特にクラウド利用が進んでいる企業では、
クラウドネイティブなSIEMかどうかが重要な判断材料になります。

 

3. 検知ルールの充実度とチューニングのしやすさ

SIEMは「導入して終わり」ではなく、運用しながら育てるツールです。

以下の観点で確認しましょう。

  • 標準で用意されている検知ルールの量と質
  • 誤検知・過検知を抑えるためのチューニングが容易か
  • 自社独自のルールを追加・修正できるか
  • 相関分析や振る舞い検知が可能か

よくある失敗として、
「アラートが多すぎて対応できず、結局見なくなる」
というケースがあります。

実際の運用を想定し、改善を前提とした設計が可能かは非常に重要です。

 

4. 自社の運用体制(内製 or SOC)との相性を見る

SIEMはツール単体では十分な価値を発揮しにくい製品です。

以下の点を事前に整理しておく必要があります。

  • 24時間365日の監視が自社で可能か
  • アラートの一次対応・二次対応を誰が行うのか
  • インシデント発生時の判断・エスカレーションフロー

自社での運用が難しい場合は、
SIEMとSOCサービスを組み合わせた利用も現実的な選択肢です。

ツールと運用が分断されると、
「アラートは出ているが、どう判断すべきか分からない」
という状態になりやすいため注意が必要です。

 

5. コスト構造を理解し、中長期で試算する

SIEMのコストは、初期費用よりも運用コストが膨らみやすい傾向があります。

代表的なコスト要素は以下です。

  • 取り込むログ量(GB/日・GB/月)による従量課金
  • ログの保管期間(リテンション)
  • 高度な分析・可視化機能のオプション

導入当初は問題なくても、
ログ量の増加とともに想定以上のコストになるケースも少なくありません。

将来的なシステム増加やログ増大を見越した試算が重要です。

 

まとめ:SIEM選定は「ツール選び」ではなく「運用設計」

SIEM選定で重要なのは、以下の流れで考えることです。

  1. 何を目的にSIEMを使うのか
  2. どのログを集め、何を検知したいのか
  3. 誰がどのように運用・判断するのか
  4. 中長期で見たコストは許容できるか

SIEMは導入して終わりではなく、継続的に改善していくセキュリティ基盤です。
ぜひ、自社のセキュリティ成熟度と運用体制を見直しながら、最適なSIEM選定を進めてみてください。

Colorkrew Securityでは、Microsoftが提供するSIEMである Microsoft Sentinel について、導入から運用までを一貫してご支援しています。
取得すべきログの選定や分析方針についても、コストを考慮しながら最適な導入設計を行うことが可能です。

また、Microsoft Sentinelはログの取得を停止すれば追加の利用料金は発生しないため、
「まずは環境を構築し、どのような分析が可能かを確認したい」といったスモールスタートにも適しています。

Microsoft Sentinelの活用や導入をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。