Active Directory防御の要|Defender for Identity徹底解説

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- Defender for Identity
- ADセキュリティ
- 認証基盤防御
- SOC運用
Active Directory を守るための“専用EDR”を正しく理解する
企業のセキュリティ対策において、エンドポイント(PC)やクラウドサービスの防御は年々強化されています。一方で、Active Directory(AD)を狙った攻撃は依然として後を絶たず、ひとたび侵害されると被害が全社規模に広がる危険性があります。
本記事では、社内のセキュリティ担当者向けに、Defender for Identityがどのような役割を果たし、どのような脅威を検知できるのかを解説します。
Active Directory はなぜ狙われるのか
Active Directory は、ユーザー・グループ・端末・権限を一元管理する社内認証基盤の中核です。
攻撃者にとって AD を掌握することは、以下を意味します。
- 管理者権限の奪取
- 全端末・全ユーザーへの横展開
- ログ削除や痕跡隠蔽による長期潜伏
実際の侵入シナリオでは、次のような流れが非常に多く見られます。
- フィッシング等により PC が侵害される
- 端末上で認証情報が窃取される
- AD 内で横展開・権限昇格が行われる
この過程では、正規ユーザーの資格情報が悪用されるケースが多く、EDR だけでは AD 内部の不審な挙動を十分に把握できないという課題があります。
Defender for Identity とは
Defender for Identity は、Microsoft が提供する Active Directory 専用の脅威検知ソリューションです。
一言で表すと、次のような製品です。
「Active Directory 上で発生する認証・通信・操作の振る舞いを分析し、侵害の兆候を検知する」
エンドポイントに対する Defender for Endpoint が「PC の EDR」だとすれば、
Defender for Identity は 「Active Directory の EDR」 と考えると理解しやすいでしょう。
どのような脅威を検知できるのか
Defender for Identity は、単なるログの有無や回数ではなく、行動パターン(Behavior)を基にした分析を行います。代表的な検知内容は以下の通りです。
① 認証情報の悪用
- Pass-the-Hash
- Pass-the-Ticket
- Golden Ticket 攻撃
これらは、正規の認証情報を使って不正アクセスを行うため、従来の境界防御では見逃されやすい攻撃です。
② 横展開・内部探索
- 不自然な LDAP クエリの実行
- 通常とは異なる管理者権限の使用
- 短時間に複数端末へ接続する挙動
AD 内を探索し、次の攻撃対象を探すフェーズを検知できます。
③ 権限昇格・設定変更
- 管理者グループへの不審なユーザー追加
- AD オブジェクトの不正な属性変更
「設定変更=正規作業」となりがちな領域だからこそ、振る舞いベースでの検知が重要になります。
導入構成と基本的な仕組み
Defender for Identity は、ドメインコントローラにセンサーを配置して動作します。
このセンサーが以下の情報を収集・分析します。
- 認証トラフィック
- Windows イベントログ
- ネットワーク通信のメタデータ
検知結果は Defender ポータルに集約され、アラートとして可視化されます。また、Microsoft Sentinel などの SIEM と連携することで、SOC 運用の中で一元的に監視・分析することも可能です。
EDR・SIEM との役割分担
Defender for Identity 導入時によくある疑問として、次のような声があります。
「すでに EDR や SIEM を導入しているが、それでも必要なのか?」
それぞれの役割を整理すると、以下のようになります。
- EDR:端末上の挙動(マルウェア、プロセス、不審操作)を監視
- Defender for Identity:Active Directory 内部の挙動を監視
- SIEM:複数製品のログを集約し、相関分析を行う
Defender for Identity は、AD という最重要基盤の可視性を補完する存在であり、既存対策を置き換えるものではなく「補強する」位置付けになります。
SOC 視点でのメリット
SOC 運用の観点では、Defender for Identity を導入することで次のような効果が期待できます。
- AD 攻撃の早期検知
- 侵害範囲(影響ユーザー・端末)の迅速な特定
- CSIRT による調査・対応へのスムーズな連携
特に、「EDR は入れているが、AD 内部の状況は見えていない」という組織にとって、重大なセキュリティギャップを埋める製品です。
まとめ
Defender for Identity は、
- Active Directory を狙った高度な攻撃を
- 振る舞いベースで検知し
- SOC / SIEM と連携して実運用に活かせる
Active Directory セキュリティの中核となるソリューションです。
ゼロトラストや XDR が注目される今だからこそ、
「認証基盤そのものをどう守るか」という視点で、Defender for Identity の導入・活用を改めて検討する価値があると言えるでしょう。
Colorkrew SecurityではDefender for Identitiyの導入から運用までサポート可能です。
Microsoft 365 E5ライセンスに含まれているけれども活用できていない、などのお悩みがある方は是非お気軽にご相談ください。



